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「On the Way to a Smile ファイナルファンタジーVII」

ファンタジー

【FF7】FF7後の世界の変化を描く「On the Way to a Smile ファイナルファンタジーVII」

「FF7リメイク」が発売されて早一週間ですね。

 

もうすでにクリアした人やこれからクリアする人、また未プレイだけど気になっている人など様々だと思います。

 

今回私が紹介するのはFF7をプレイしたことのある方なら気になっているであろう「その後」の世界のお話。

 

FF7の後日譚の小説の「On the Way to a Smile ファイナルファンタジーVII」です。

 

FF7後の世界を複数のキャラの視点で描く小説としてのスピンオフ作品

 

FF7にはいくつかコンピレーション作品がありまして、代表的なものが以下になります。

・Final Fantasy7
・Final Fantasy7アドベントチルドレン
・Final Fantasy7ダージュオブケロベロス
・CRISIS CORE Final Fantasy7
・Final Fantasy7リメイク

 

この小説はFF7からFF7の二年後を描く映像作品であるアドベントチルドレンの間の出来事を

それぞれのキャラの視点から描いた作品で、

わかりにくかったアドベントチルドレンのストーリーの補足のエピソードといった感じです。

 

FF7の終わりからキャラクターにどの様な変化があったかを描いてくれています。

 

FF7のラストの「運命の日」から2年の間にキャラクターにどの様な心境の変化があったか。

またミッドガルを始めとした世界にどの様な変化があったかについて語ってくれています。

 

パーティーメンバー達の新しい人生と生活についてのエピソード

 

FF7の主要メンバーのその後についてが描かれています。

 

主要キャラのクラウドとティファの2人が2年間にどのような人生を送ったのかについて淡々とした心理描写で描かれていました。

 

ミッドガル崩壊後の世界でクラウドとティファは新しい街である「エッジ」で再び店を開くことになり、その後クラウドは配達の仕事を始めることになります。

 

バレットの娘のマリンと3人で店を切り盛りしていたのですが、やがてそこにデンゼルという少年が加わります。

 

お互いに過去の行動の罪悪感によって苦しんでいたティファとクラウドでしたが、

デンゼルやマリンと過ごす家族の生活を送ることによって、過去に囚われていた心が次第に未来へと向かうようになっていきます。

 

エアリスを見殺しにしてしまった事に苦しむクラウドと、ミッドガルで多数の死者を出すことの原因になってしまったアバランチでの活動に関与していたティファ。

 

それに加えて旅の途中で加わった仲間である、ユフィシドヴィンセントレッドXIII(ナナキ)のそれぞれのその後の人生についてもざっくりとですが加えられていたました。

 

個人的にはナナキエピソードが印象的で、獣の身体を持ちながらも人間の言葉を話す能力と思考力を持ちあわせたナナキならではのエピソードになっていました。

 

ミッドガルの人々の生活の描写が細かい

 

FF7の最後でセフィロスの放った究極の黒魔法メテオに対して、星がライフストリームを使って究極の白魔法ホーリーを放ち、

その結果星は守られるのですが、ライフストリームの影響を受けたのは残った人間たちでした。

 

崩壊してしまったミッドガルに住んでいた人々が病に侵されながらも懸命に生きようとする様子、またホーリーの影響で死んでしまった人たちや残された人たち。

 

ACの登場人物であるデンゼルもその一人で、クラウド達と暮らすまでにいかにして生き延びたか、周りの人間達に助けられ、様々な人々の死に直面し、葛藤するこころの様子が日記の様に書かれています。

 

クラウドたちは実質世界を救った英雄ですが、それによって及ぼされた悪影響に人々は苦しみます。

 

両親や家族や友人が亡くなっていく過酷な現実に対して人々が感情の処理に迷い思い悩む描写が多く、中々に思いストーリーだなと思いました。

 

FF7は生と死の物語であると思うのですが、やはり小説の中でもその点についてはテーマを持って扱っているように感じます。

 

病が移るという噂が広がった直後から、病人を隔離するようにしたり、

差別の感情を隠そうともしない民衆の姿はまるで今のコロナウイルスに過剰反応して問題を起こしてばかりいる人たちの様子そのものです。

今の時代に読んでも感情移入できるのではないでしょうか。

 

神羅カンパニーの人間たちのその後のエピソードも

 

世界を破滅に追いやる元凶となった神羅カンパニーの人間たちのエピソードも後半に出てきます。

 

メインは神羅カンパニー社長だったルーファウスタークスの面々で、事故で死亡したと思われていたルーファウス神羅と、彼を守りミッドガルの治安を維持していたタークスのストーリーです。

 

魔晄という資源を発見し活用して、ミッドガルという一大巨大企業を築き、

世界に繁栄をもたらした神羅カンパニーはこの本のなかではすでに世界の敵扱いで、本人たちもそれを自覚して覚悟している様子。

 

しかし、責任転嫁するわけでもなく事実をありのままに受け入れて今の環境でどう生き抜くか、自分たちには何が出来るかを考えて行動する姿にたくましさと力強さを感じますね。

 

ルーファウスは敵に捕らえられてしまい、病気の人々とともに生活することになるのですが、そういった状況でも人々が暮らせる新しい街を作るように指示を出します。

 

その結果出来た街がACでも登場するエッジという街なのですが、

ゆくゆくはその街の中心に神羅カンパニーを再建しようという野心も忘れずに持っているルーファウスに、経営者のたくましさと粘り強さも感じます。

 

全体的に淡々としていて小説感はない

この小説ですが、全体的に小説っぽい言い回しがありません。

まるで過去を回想しているような感じで淡々と事実を確認していくといった描写の仕方で、その部分に関しては著者の仕事の特性上仕方ないのかなと思いました。

 

ゲームのシナリオは脚本のようなものなので、どのキャラがどのように動いてどのようなセリフを喋るのかを淡々と描写していくようなものです。

 

小説として読者に読ませる、楽しませるという職種の方では無いですし、ゲームシナリオはゲームとして完成されたときにユーザーがプレイして楽しめるようにするのが重要ですしね。

 

とはいえ淡々としている雰囲気が日記のようである意味で現実的なので、ファンタジー感を残しつつもリアルさが出ていて悪くはないのかなと感じました。

 

補足のエピソードがわかるので、FF7により深い理解が出来る

 

FF7は全体的にストーリーの解釈が難しい部分もありますし、ACもFF7の2年後の世界ということで様変わりしています。

 

2年の間にどんな出来事が起こり、登場人物や人々にどんな心境の変化があったかがわからなければ中々感情移入出来ずに置いてけぼりをくらったような感情になる部分がままあったように思います。

 

ACを見終わっても所見の人には何が何だかわからない部分は沢山あると思うので、この本を読むことはストーリーをざっくり理解する上でも、逆に深堀りするという観点からみても良かったです。

 

各登場人物の境遇や思考を知ることが出来るだけで、それぞれの作品の見方も変わりました。

 

まとめ

 

今回はFF7関連の作品のひとつ「On the Way to a Smile ファイナルファンタジーVII」のレビューでした。

 

FF7リメイクも最近プレイしたのですが、物語の復習にもなり新しい発見もあり中々良い本でした。

 

買ったのはもう10年くらい前なのですが、本棚に眠っていたのを思い出して読んでみて正解でした。

 

内容自体も多くはなく一日でさらっと読めましたし、FF7の世界観が好きで本を読むのも好きな人にはおすすめです。

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